タイプーサムは、
ヒンドゥー教の祝祭の一つで、
特にタミル系のコミュニティで盛大に祝われる行事です。
マレーシアではインド系マレーシア人が6-7%を占めており、
その多くはタミル系(南インド出身)が中心となります。
タイプーサムは、
タミル系住民が多いマレーシア、シンガポールなどで行われ、
マレーシアでは特にクアラルンプール郊外にあるヒンドゥ教の聖地、
バトゥ洞窟(Batu Caves)での巡礼が大規模で有名です。

クアラルンプール郊外のバトゥケイブ(Batu Cave)©️筆者撮影
ただし、過激な苦行を行うことで有名で
本国インドでは開催禁止となっている奇祭です。
本記事でも、過激な写真が出てきますので、
苦手な方はお控えください。
タイプーサムとは?
タイプーサム(タミル語:தைப்பூசம்)は、ヒンドゥー教のタミル人コミュニティによって祝われる祭りである。タミル暦でタイ (Thai) にあたる月(1月/2月)の満月の日に祝われる。パールヴァティーが息子のムルガに聖なる槍を与えたことを記念する祭りである – Wikipediaより
2025年は、2月11日(火)でした。
タイプーサムは、、
ヒンドゥー教の戦いの神 ムルガン(Murugan) を称えるお祭りで、
ムルガン神が神々から槍を授かり、悪の力を打ち破ったことを祝う日。
開催時期は、毎年 1月下旬から2月上旬(タミル暦のタイ月=1月〜2月の満月の日)。
タイプーサムの特徴

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盛大なパレード
クアラルンプールでは、
前夜からスリ・マハ・マリアマン寺院(Sri Maha Mariamman Temple)から
バトゥ洞窟までの約15kmを巡礼するパレードが行われます。
マレーシアの各地で、ムルガン神を祀る寺院でお祭りが行われ、
クアラルンプールの他、ペナン、ジョホールバル、イポー、スンガイペタニなどで開催。
前夜に寺院から山車が出発し、
この期間、数十万人の巡礼者や観光客が参加します。
独特な儀式

©️ https://www.facebook.com/PenangThaipusam/
身体に針やフックを刺す苦行が見られ、これは神への誓いと献身の証😱。
ヒンドゥ教はインド発祥ですが、
過激な苦行のため、本国インドでは禁止されており、
現在、マレーシアとシンガポールのみで見られるお祭り。
顔や体へピアッシングやフックのほか、
カバディと呼ばれる数十キロと言われる豪華な飾りを纏い巡礼したり、
スタイルは様々です。
女性や子供は、ミルクポットを運んで巡礼したり、
この期間中に髪の毛を剃り上げる方もいます。
無料の食事提供(アンナダーナム)

アンナダーナムの様子©️筆者撮影
会場では、無料の食事なども提供されます。
多くのヒンドゥー教団体やボランティアが準備されているようです。
マレーシアのタイプーサム
マレーシアではクアラルンプールのバトゥ洞窟が最も有名な巡礼地ですが、
ペナン島のウォーターフォールヒル寺院やジョホールバルのアラサ寺院などでも祝われます。
筆者も見学!ペナンでの巡礼の様子
金と銀の山車(シャーロット)
タイプーサムは、前日から始まります。
まずは、山車がジョージタウンにあるヒンドゥ寺院を出発し、
ペナンのヒンドゥ教の聖地ウォーターフォールヒル寺院を目指します。
ペナンでは2017年以降、
シルバーシャーロットとゴールドシャーロットと山車が2台に。
通常は、シルバーシャーロットのみで、
他の州のタイプーサムとは異なる点だそうです。
シルバーシャーロットには、ムルガン神の御神体が祀られています。

©️https://www.facebook.com/penangfoodie (ペナンの山車・シルバーシャーロット)
ゴールドシャーロットには、槍(ヴェル) が祀られています。

©️ https://www.facebook.com/PenangThaipusam/ (ペナンの山車・ゴールドシャーロット)
巡礼のスケジュール
シルバーシャーロットは、
前日 (2/10) の朝7時にLebuh Queen通りを出発 → Jalan Air Terjunに向かいます。
帰りは、2/12 の午後7時にJalan Air Terjunを出発 → Lebuh Queen通りに戻ります。
ゴールドシャーロットは、
前日 (2/10) の朝6時にLebuh Queen通りを出発 → Jalan Air Terjunへ。
帰りは、2/12 の午後6時にJalan Air Terjunを出発 → Lebuh Queen通りに戻ります。
お供えをする信者の方々や人の波に押され
何時頃にどこにいるかが分からないので、
この時代、今どこにシャーロットがいるか、
シャーロットトラッカーなるものがいくつか存在しており、
位置情報を得ることができます!!
https://www.chariottracker.com/en
※タイプーサムは毎年日にちが違いますので、その年の祝日は改めてチェックしてみてください!
お清め・ココナッツ叩き割り

©️ https://www.facebook.com/PenangThaipusam/
日本でいう塩をまいてお清め、というところでしょうか。
シャーロットが通る前に、ココナッツを床に叩きつけて
山車の通る道を清めるそうです。
巡礼ルートには、ココナッツが山積みにされているので、
ルートを確認しつつ、ココナッツが山積みになってるところを目指しましょう。
山車が通る前に、ココナッツを道路に叩きつけるので、
見たい場合は、前日にジョージタウンにレッツゴー。
なお、洋服や靴はココナッツウォーターまみれになることを忘れずに!
タイプーサムのハイライト!!
巡礼者はカバディを担いで歩く
カバディとは、神への献身を示す装飾された担ぎ物。
軽いものから、大きく装飾されたものまであり、
身体にピアスやフックを刺して運ぶ方も多いです、汗。
下記、過激な写真が出てきますので注意!

©️https://www.facebook.com/PenangThaipusam

©️https://www.facebook.com/PenangThaipusam
上記の写真は全て©️https://www.facebook.com/PenangThaipusamよりお借りしました。
祭りの前に約1カ月間から、菜食中心の食事をとるなどの修行を行い、
断食や禁欲、祈りを捧げることで心身を清め、誓いを立てるそう。
タイプーサム当日の夜、巡礼地周辺ではトランス状態の人もいたり、
ここまでの苦行を乗り越えてきた巡礼者の姿を想像すると尊敬の念を覚えます。
ヒンドゥ寺院までの○○○段の階段を登り、最後祈りを捧げる
巡礼者たちは、ミルクポット(パール・クドゥム)を頭に載せて運ぶ人もいれば、
背中にフックを刺したり、顔に串を通したりする人もいます。
ここまでの巡礼の道のりも長かったですが、
最後、何百段という階段を登ります。
これらは「痛みを超越することで神に誓いを立て、願いを叶えてもらう」意味があるそうです。
クアラルンプールのバトゥ洞窟は272段の階段、
ペナンのウォーターヒル寺院は何と500段以上💦
階段は巡礼者と観光客よって、非常に混雑します。
まとめ
今年2025年のペナンの通行止めは、
2月10日 – 2月12日の
タイプーサム(祝日)の前日から翌日まで3日間でした。
巡礼の方や観光客を合わせ
毎年数十万人、今年は10万人の来場を見込んでいたそうです。
この期間、ジョージタウン周辺は、
通行止めが多く発生しました。
タイプーサムを見学に行く場合、
かなり歩くことが予想されますので、
覚悟して準備して行くと良いと思います!
なお、これだけの苦行を行う信者のためのイベントでありながら、
観光客や非ヒンドゥー教徒以外もパレードの見学や参加が可能で、
快く受け入れてくれます。
マレーシア人の懐の深さが感じられます。
敬虔な信者の巡礼であることを忘れず、
敬意を払い参加しましょう。
きっとここでしか体験できない素晴らしい経験ができると思います!