日本は世界に誇る治安の良い国です。
平和ボケ、という言葉に表されるように、日常から危機感を持って暮らしている人は少ないのではないでしょうか。
しかし、海外に観光へ行くときは、観光客として大きなお金をまとめて持っていることもあり、何かしらのトラブルに巻き込まれやすい可能性が高くなります。
特に、マレーシアのようなアジアの国に行くと日本人はお金持ちだというイメージがありますから、尚更です。
比較的安全と言われているマレーシアですが、日本と同じような感覚で外を出歩かない方が良いですよ。
でも「何をどう注意したらいいのか分からない」という方のために、マレーシア、特にクアラルンプールで起こりうる犯罪や対策法についてまとめました。
目次
マレーシアの全体的な治安について
マレーシアは、他の東南アジアや南アジアの国に比べたら、比較的安全な国です。
特にここ20年の経済発展により、犯罪率は年々下がってきているとも言われています。
実際に、クアラルンプールに長く滞在していても、大きな事件に巻き込まれた人は見たことがある人はごくわずかで、私自身も見たことも巻き込まれたことはありません。
しかし、細かいトラブルや(タクシーの料金トラブル等)、自分の不注意が原因で発生したトラブル(置き引き等)は、日本よりかなり高い率で発生します。
なので、やはり日本と同じ感覚だとあまりにも不注意すぎるかもしれません。
特に外国人、さらに日本人だというと、マレーシア人からするとお金持ちなイメージがあるので興味を持たれることも確かですし、それが犯罪に繋がることもあるでしょう。
クアラルンプールには多くの外国人がいるから、自分だけ目立つわけがないと思ったら大違いです。
外国人女性の中でも日本人女性への憧れは、マレーシア人の間で強くあります。
なので、海外で過ごすうえでの基本的な危機管理方法をきちんと頭に入れておく必要があると思います。
それさえ守れば、特に大きな犯罪に巻き込まれることなく楽しく過ごすことができるでしょう。
なにに気を付ければ良いか分からない方、この記事に書いてあるので、安心してくださいね。
マレーシア警戒区域⇒サバ州の海賊が現れる場所について
まず、外務省の出している危険レベルについてです。
マレーシアは、西側のマレー半島と、東側のボルネオ島の二つに大きく国土が分かれています。
クアラルンプールのあるマレー半島側では、特に大きな危険が潜む地域はありませんが、クアラルンプールから数日間ボルネオ島の方へ観光する予定がある方は要注意です。
サバ州の東海岸沖、フィリピン南部に近い地域では、長い間にわたって海賊事件や身代金目的の外国人誘拐事件が多発する地域です。
サバ州の州都であるコタキナバルは警戒レベル0ですが、それより東側のビーチや島を楽しみたいと考えている方は、再考、危機管理の徹底をお勧めします。
マレーシアの犯罪発生状況
外務省の海外安全ホームページによると、2016年におけるマレーシア全体の主な凶悪犯罪は
- 殺人:456件(前年比43件減少,人口10万人あたりの発生率は日本の約2倍)
- 強盗:14,453件(同705件増加,人口10万人あたりの発生率は日本の約25倍)
- 強姦:1,886(同161件減少,人口10万人あたりの発生率は日本の約7倍
となっております。
日本に比べたらかなり高い数値です。
一方でスリや置き引き、ひったくりなどの該当犯罪は17,333件と多く、前年比でも増加しているので念頭に置いておく必要があるでしょう。
特にこういった小さい犯罪はクアラルンプールのような観光客の集まる人の多いところで、現地のことをよく知らなさそうな人を狙って行われるので気を付けましょう。
マレーシアのテロ情勢
テロと聞くとイスラム教を信仰すると提唱する過激派の組織の存在が思い浮かぶ方も多いかと思います。
マレーシアの国民の60%がイスラム教を信仰するムスリムですが、過激派のムスリムとは別物なので、ムスリムだから一概にテロの危険性があるという訳ではありません。
しかし隣国のタイ南部、フィリピン南部、インドネシア等、イスラム過激派が活発に活動を行っている地域と近いことから、テロ組織のメンバーがマレーシアに潜入しやすい環境ではあります。
また欧米等、非ムスリム国に対する感情が悪化し、状況が一転することも考えられるので、テロの脅威も少なからずあると考えてよいでしょう。
特にマレーシアの中でもクアラルンプールは、様々な人種が入り乱れている地域です。
むやみに人が集まるところに出入りしたり、宗教や政治的な活動が盛んな日に宗教施設に出入りすることは避けた方が良いかと思います。
クアラルンプール今までおきた事件例とは
移住者が東南アジアでは比較的治安が良いと言われるマレーシアですが、無防備で過ごせるというわけではありません。
やはり日本以外の国ではある程度意識的に生活することになります。
治安は比較的良くても、日本では考えられない小さな事件は結構多発しているので、頭の片隅に情報として覚えておくことをオススメします。
クアラルンプールでのスリ・ひったくり
クアラルンプール等、人が集まるところは、犯罪率が高まりますが、特にスリやひったくりが一番可能性の高い犯罪と考えても良いでしょう。
スリやひったくりは人が密集する場所で狙われます。
特に外国人の多く、ゲストハウスの多いChina Town やCentral Market 、Bukit Bintang周辺の治安は良いとは思えません。
このようなところでは、集団で巧みなチームワークによって犯罪を行っている場合もあります。
チャックのないかばんやポケットに、貴重品を入れることはもってのほかです。
必ずチャック等で口を閉めることができるカバンで、自分の目に見える範囲で所持しましょう。
置き引き
ホテルのチェックイン時やチェックアウト時など荷物への注意が散漫になる時に、財布や貴重品が抜き取られたり、スーツケースを盗まれることがあります。
また、わざと被害者の前で物を落としたり、話しかけたりすることで注意をそらすこともあります。
ビュッフェスタイルのホテルの朝食で不用意に荷物や貴重品を置いたまま料理を取りに行ってしまい、盗難に逢うケースが日本人では多いようです。
当たり前ですが、ファストフード店の席取りで荷物を置いたり、食事中にトイレに立つときに荷物を置いたままにすることはもってのほかです。
KLCCのフードコートや、Lot10の地下のフードコート等、ついつい席を先に確保してから料理を注文したいと思いがちですが、やめましょう。
ティッシュや傘などを置いていたら、盗まれたわけではなく、ごみや誰かの忘れ物だと思われて、片づけられてしまう場合もあります。
自分の体や目から離れた荷物は取られても文句は言えないと思って行動するのが無難でしょう。
強盗
刀で被害者を切り付けて金品を全て奪い取ったり、お酒に睡眠薬を仕込まれて意識を失っている間に金品を全て盗まれる等の手口は強盗ではよくあるパターンです。
夜に1人で出歩かない方が良いでしょう。
また、見知らぬ人と飲食をすることは、リスクが伴うと理解し勧められたものも不用意に口にしないことが重要です。
また、暴力等の被害に遭ったときは、抵抗せず身の安全を守ることが第一優先です。
タクシートラブル
マレーシアのタクシーサービスはかなり評判が悪いです。
運転が荒かったりメーターを付けなかったり、メーターを改良する等料金トラブルも多い傾向にあります。
また、運転手が乗客に不快な思いをさせたり、物を奪ったりすることもあるので、注意が必要です。
そのため、現地の人もGrabやMy taxiという配車アプリを使ってタクシーを利用するのが主流になっています。
このような配車アプリは日本ではあまり使われていませんが、運転手と料金が事前に分かり、とても便利なので、日本でインストールしてからマレーシアに行ってください。
クアラルンプール夜の治安対策!トラブルを避けるために知っておくこと
犯罪のことばかり読んでいると、気分が暗くなりますよね。
最初に申し上げた通り、マレーシアは比較的安全な国です。
以下のポイントをしっかりと抑えて、自分の身は自分で守る姿勢を貫きさえすれば、楽しいマレーシア旅行になると思いますよ。
カバンについて
観光地ではひったくりやスリ、置き引きなど、外出先でのトラブルがとても多くなるでしょう。
貴重品を入れる「カバン」の選び方、持ち方でトラブルに遭う危険性が大きく下がると思いますよ。
前述したように、カバンはチャックが閉まるものを用意しましょう。
できることならば、チャックの上からマジックテープで閉まるような二重構造のもの方がより良いです。
また、カッター等で簡単には切れないような生地のものを選びましょう。
おしゃれ度は下がるかもしれませんが、安全度は確実に上がります。
さらに、貴重品を入れるカバンは、リュック等背中に背負うものではなく、ショルダーバック等、前で抱えることができるものの方がより安全です。
そして、カバンの持ち方です。
人混みでは、必ずカバンを前で抱えるようにして持ちましょう。
人混みでなくてもこうするべきです。
また、道路を歩く際は、車道側にカバンは持たないようにしましょう。
バイク等の乗り物に乗った人からひったくられる可能性を下げることができます。
人に声をかけられたとき
犯罪目的で話しかけてくる人は少ないと信じたいですが、悲しいことにそういう人がいることが事実です。
特に、夜間のバーやクラブなどで声をかけられて、お酒を奢ってもらったら、意識を失っていたことがあったり、仲良くなったふりをして、人の少ないところに連れていかれて脅されたり、出会ったばかりの知らない人とは犯罪の可能性が高まります。
これは日本でもそうですが、知らない人にむやみに仲良くなることはしないようにしましょう。
Jalan Alorから徒歩圏内Changkatという場所は、バーやクラブ、マッサージ店などのナイトライフが充実しているエリアですが、このような犯罪が多く行われやすい場所でもあると思われます。
また、このような犯罪は一人の旅行者や女子の二人旅など少人数の観光客が狙われやすいです。
なぜかというと、お店の勧誘に断りにくいからです。
道を歩いていると、日本語で「こんにちは~」「かわいい~」などと声をかけてくる人も多いです。
フレンドリーになろうとしているだけで、悪い人ではないかもしれませんが、あえてそういう人と仲良くなるべきではないと思います。
特に女性一人だと、上記の場所に限らず、夜間にむやみに出歩いたり、夜遅くまで繁華街で飲んだりすることは、あまりお勧めしません。
タクシーアプリを使う
タクシートラブルのところで述べましたが、公共交通機関以外での移動時には、Grabを利用する事をお勧めします。
夜であったら尚更です。
しかし、Grabを利用しても渋滞で時間がかかったからRM20多く払えなど、理不尽なことでお金を要求するドライバーもいます。
なので、全てのGrabドライバーが安全だという訳ではありませんが、通報機能等のアフターサービスがあったり、ドライバーの評価があったりするので、流しのタクシーよりかははるかに安全です。
また、Grabのドライバー側も乗客との間でトラブルに巻き込まれたくないので、車内にカメラを設置していることもあります。
たびレジの登録
海外へ渡航する場合は基本ですが、外務省のたびレジに登録してから渡航するようにしましょう。
たびレジに登録すると、宗教のお祭りや、政治的に緊張が高まる日を教えてくれたり、事件が起こったら、危険が高まっていること教えてくれます。
宗教的な主な施設はモスク(KLの中心では、Masjid Jamek)、政治的に緊張が高まるのは、Merdeka Squareでしょう。
どちらも、Masjid jamek駅周辺なので、なにかある日にはその駅は避けるべきだと思います。
旅レジには必ず登録して、どこへ行ったら犯罪に巻き込まれる危険が高まるのか、把握しておくことが大切です。
野良犬等の動物を見かけたとき
犯罪やトラブルというと、人間の起こすことだと考えられますが、野良犬や野良猫から伝染する病気も深刻なトラブルになりかねません。
金品を取られるだけでなく、命の危険にさらされる場合もあります。
マレーシアでは、夜になるとよく野良犬や野良猫を見かけるエリアがあります。
特に人の少ないところや、ローカルの食堂が多いエリアにそのような動物は発生しやすいです。
噛まれると死に繋がる狂犬病にかかったり、引っかかれた傷口から細菌が入ることもあるので、野良犬などの動物を見かけたら、落ち着いてその場から離れるようにしましょう。
また、ジカ熱やデング熱を発症する可能性も日本よりはるかに高いです。
虫よけスプレーを常備し、植物の多いところでは露出の少ない恰好をするのが無難だと思います。
まとめ
マレーシアの治安についてまとめてみました。
渡航前の方に読んでいただいているのであれば、少し怖がらせてしまったかもしれませんが、大きな心配はありません。
上記のことを頭に入れて、むやみにはっちゃけ過ぎなければ大きなトラブルに巻き込まれることはないと思います。
ですが、気を緩めてはいけませんよ。
マレーシアに到着してから、日本に帰ってくる時まで、不快な思いをすることのないように、危機管理は徹底して行ってくださいね!